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2005.06.14

「がん患者大集会」現在の日本のがん医療について、患者や家族、遺族の8割が不満

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日本経済新聞 2005年5月28日
毎日新聞 2005年5月28日
読売新聞 2005年5月28日

要約
がん治療の成績公開や地域格差の解消を求め、患者の声を結集して日本のがん医療を変えようと、約20のがん患者団体が28日、「がん患者大集会」を大阪市中央区で開いた。日本のがん医療予算が米国の50分の1程度と貧弱な現状を専門家が報告。この後、診療指針や病院の治療成績などの情報を全国の患者に提供する「がん情報センター」の設立を盛り込んだ大会アピールを決議した。また、東京大学の近藤正晃ジェームス特任助教授らが行った「がん関係者アンケート」の中間集計(回答者数1031人)が報告され、がん患者・家族の80%が、がん医療に不満を抱いていることが分かった。調査によると、不満の原因は「治療薬の承認の遅れ」が92%と最も多く、「治療や生活全般の総合的な相談窓口がない」「治療費が高い」が続いた。さらに、「患者の声が医療政策に反映されていない」との回答が93%に上った。

 

最近、私はアメリカに来たばかりの人にアメリカ生活について聞かれると「アメリカは日本の良さ(すばらしさ)を確認しにくる所かもしれません」とお 話することが多い。他の人から、将来もずっとアメリカですか?と聞かれたときも、いつの頃からか「I love Japan.ですから、もちろん日本に帰ります。」と答えるようになっていた。では、なぜアメリカに住んでいるのかと聞かれれば、それは来て自分の目で見 るまでは、実際のアメリカ、アメリカ医療の現実を知らなかったからと言うのが正直なところだ。息子の病気がなくても多分、ここ1、2年の内には日本に戻っ て来たに違いない。

 せっかく、このような集会が日本で開かれたと言うのに、その中にアメリカの医療と比べる記事があるとちょと、がっかりしてしまう。今回のように断 片的にアメリカの医療を切り取り、数字だけで日本の医療と比べ、まるでアメリカの医療が良い医療の見本のように言われるたびに、はたして今後の日本の医療 が良い方向に進むのかと不安に思ってしまう。アメリカを目指して本当によいのだろうか。

 がん医療予算が米国の1/50と言うが、逆に考えると国民の1/4が保険にも加入していない(医療にかかれない)米国で日本の50倍もの予算を使 う必要があるのかと考えてしまう。保険ありきの日本人には、医療費が想像できないくらい高額な自由診療のアメリカでどれくらいの人が、この予算の恩恵にあ ずかれるのかと考えると何か切ない気もする。

 私もアメリカの癌センターに所属しているので分かるが、癌関連の研究だけを考えてみても、決してその分野で有名と言うわけでもない、ちょとした研 究室(例えば私の研究室)でも確かに日本の研究室とは、桁が違うたくさんのお金を持っている。ただ、その研究費も研究を実際する人材がいて初めて活用でき るもなのである。ここアメリカには、本当にたくさんの人材が世界中から集まってくるのである。今の日本でがん医療予算がもっとあれば良いのかというと、そ ういう簡単な問題ではないような気がする。

 私もアメリカに来るまでは、アメリカの医者は患者さんの診察をしながら研究もするスーパーマンの集まりかと思っていた。しかし、実際は日本よりも 臨床家と研究者ははっきりと区別され、研究面はどちらかと言うと私のようなアメリカ人以外の人種が支えているという印象さえ受ける。日本の医療全般に言え ることかもしれないが、今の現実は予算さえあればよいと言うわけではなく、まずは人材の確保が優先ではないだろうか。

 こういう集会だからこそ、実際、海外の医療を患者の立場で経験した人を呼び、一人くらい「日本の医療は、アメリカとはここが違うからすばらしいの だ」と胸を張り、みんなの前で「他の国がまねできない今の日本医療の良さをいかし、さらに発展させていこう」と言ってくれる人がいてもよいのでは、と思っ てしまう。

地元鎌倉出身の内科・消化器科医院
経鼻胃カメラ・大腸カメラ検査のさかい内科・胃腸科クリニック 

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コメント

blogいつも興味深く拝見しています。「他の国がまねできない今の日本医療の良さをいかし、さらに発展させていこう」には、全く同感です。アメリカはそんなにすばらしいのか?すばらしいなら、この目で見たい!と思って来ましたが、実は日本の医療・看護・保健医療制度にもたくさんいいところがありました。先進国にあって、国民皆保険というのは何よりも強みになるでしょう。アメリカで、個人の保険の種類により、検査や治療が選択されるのを見るのは、医療の倫理をも疑うことがあります。これからも、興味ある記事を期待しています。

投稿: tisane | 2005.06.17 03:12

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